045-222-8623

03-6279-1537

マンション大規模修繕の進め方を徹底的に解説

コンサル方式の大規模修繕を始めよう

さて、大規模修繕をコンサル方式で進めると、総会決議で決まったとしよう。

しよう。

コンサル方式とは建物診断と設計を外部の専門家に任せ、工事は別の業者にやってもらう方式のことだ。

そうだったね。

この方式ではまず最初にパートナーとなるコンサルタントを管理組合が選ぶことになるんだけど・・

だけど?

実はここがいきなりヤマ場なのだ。この方式ではパートナーの果たす役割が非常に大きい。 良い専門家と出会えるかが重要になってくる。

出会えなかったらどうなるの?

ゲームオーバーといっていい。
いい加減な設計、バックマージンをもらって技術の無い工事業者を推薦されて、 質の低い工事に割高のお金を払うことになる。

コンサルタントを引き受けてくれる業者の種類

大規模修繕のパートナーとなるコンサルタントには、たとえば以下のような業者を選ぶことができます。

1.一級建築士事務所

設計の専門家である一級建築士をパートナーに選びます。
最もオーソドックスなパターンと言えるでしょうか。

注意が必要なのは、一級建築士は基本的には新築設計のエキスパートであるという点。 資格を取る過程でマンションの修繕・改修について詳しく学んできているわけではないのです。

机上の理論を学ぶことが重要な新築設計に対し、修繕・改修工事に求められるのは経験です。 しかし改修経験の豊富な人材は、業界でも数少ないのが現実。

さらに、コンサルタントには単に工事の設計にとどまらず、管理組合の運営等をサポートする役割も求められます。 というのも「コンサル方式」の大規模修繕を採用した場合、管理会社は組合のサポートを行わない可能性が高いからです。 (管理会社以外に大規模修繕を任せる場合、管理会社は組合を支援しなくてよいという契約になっていることが多い)

しかし一級建築士は建物については詳しくても、マンション管理の専門家ではありません。 とりわけ腕の良い建築士ほどそうしたサポートを不得手としていることが多く、 両面に通じた事務所を探すのは簡単ではないでしょう。

2.大規模修繕コンサルティング専門業者

大規模修繕のコンサルティングを専門に行っている業者があります。 かつて建設業界やマンション管理業界にいた人間が設立する場合が多いようです。 最近では(私のような)マンション管理士がこの分野に参入するケースも増えています。

一級建築士と提携するなり社内に抱えるなどして設計作業を任せるので、 本質的には一級建築士事務所をパートナーにすえる場合と変わらないのですが、 違いとしては社内に分業体制を敷き、(一級建築士が苦手としているであろう)管理組合のサポートを専門のスタッフに任せているという点があげられます。

マンション管理の現場を熟知しているスタッフのサポートが受けられるというのは、大規模修繕の期間中、 何かと不安に陥ることの多い管理組合にとって大きなメリットとなるでしょう。

欠点としては、やはり信頼できる良い会社を見つけるのが難しいこと。
中には合理的な経営を追求するあまり、雑な(マニュアル的な)仕事をする会社もあるようです。

厄介なのはそうした会社であっても営業トークは上手だったりするので、雰囲気だけで選ばないことが重要。 さりとて何を基準に選べばよいのかとなると、実はこれといった判断基準も無いので、管理組合としては困ってしまうところです。

3.建設会社

建設会社が大規模修繕コンサルタントの仕事を行うこともあります。
自社で工事をするのではなく(それだと工事業者お任せ方式になる)、あくまで設計や監理だけを引き受けて裏方に徹するという意味です。

設計をするだけの存在である一級建築士事務所と違い、ふだん自分たちで工事をしている会社がその経験を活かしコンサルティングをするという点がミソで、 例えて言うなら現役の野球選手がコーチを兼任する、ような話です。 実際に工事をやっている者だからわかることがある、というわけです。

先にも述べたとおり、マンション改修の設計をする人間には経験が重要なので、 この点は非常に大きなメリットになるでしょう。

一方不安な点を挙げるとすれば、コンサルタントと建設業界との距離が近くなりすぎること。
一般に施工業者には施工業者の論理が、管理組合には管理組合の論理というものがあり、 その2つは相容れないことも多いはずです。

ちょうど男性と女性の論理が、あるいは親と子の論理が、または経営者と労働者の論理が、 互いに相容れないことが多いのと同じように。

建設会社がコンサルティングを行う時、 ふだん自分たちが持っている「施工業者の論理」を捨てて、管理組合の味方に徹することが果たしてできるのか、 この辺りが課題となりそうです。

ただでさえ建設業界は横のつながりが強い世界であり、馴れ合いの関係に染まって工事の厳正なチェックがしにくい、 そういう空気は多少あるはずです。

4.管理会社

管理会社に大規模修繕コンサルタントをお願いする方法もあります。
これは「管理会社お任せ方式」で大規模修繕を進めるという意味ではありません。 建物診断や設計だけを彼らに任せて、工事業者は管理組合が自分で選ぶというパターンです。

メリットは気心の知れたフロントマンによるサポートを受けられるという点。
大規模修繕を進める過程で、管理組合として何をすればいいのかわからなくなる時があります。 そうした時にあなたのマンションのことを良く知っているフロントマンのサポートを受けられるのは頼もしいことでしょう。

ただしそれはそれなりに優秀なフロントマンに担当してもらっている場合に限った話であって、 もしもフロントマンの普段の仕事ぶりにあなたが大きな不満を感じているのであれば、 メリットは反対に大きなデメリットへと変わるはずです。

【次のページ】  » 3-2. 信頼できるパートナーの選び方

【目次】 コンサル方式の大規模修繕
  全ての目次へ

  1. 3-1. まずはパートナーを選ぶところから  ←Now
  2. 3-2. 信頼できるパートナーの選び方
  3. 3-3. 建物診断をしよう
  4. 3-4. 設計をしよう
  5. 3-5. 業者を選ぼう
  6. 3-6. 見積りを取ろう
  7. 3-7. 総会決議を採ろう
  8. 3-8. 説明会を開催しよう
  9. 3-9. 工事の開始
  10. 3-10. 工事を終えて
  11. 3-11. コンサル方式のまとめ

このページの先頭へ